理事長よりご挨拶
アゴラとは
「アゴラ」というのはギリシア語で広場という意味で、古代ギリシアの都市国家の中心にあったアゴラは多くの人が集い、マーケットが立ち、演説をしたりパフォーマンスを披露したり情報の発信源としての役目も果たしていました。1988年4月創設した私たちの教室に「スペースアゴラ」と名付けたのは、この教室でも多くの人が自由な発想で何かを始めたり、音楽で表現したり、そしてそれを教室の外へもどんどん発信していけるような拠点になってほしいという思いからでした。
スペースアゴラでは
音楽教室以外に月1回子どもたちを集めて紙芝居や絵本の朗読、ミニコンサートなどを行うアゴラお話の会、ルドルフ・シュタイナーの著作を読む読書会、講演会なども行いました。
音楽教室の方は当初ピアノ科、ヴァイオリン科、マリンバ科、声楽科の4つのコースから始めました。幸いなことにスペースアゴラ音楽教室は開設当初からすばらしい先生方に恵まれ、多くの優秀な生徒さんが巣立っていきました。そして第1回目のコンサートではまだ4歳、舞台袖で眠ってしまって私に抱かれて登場した娘の真梨子が今や多くのヴァイオリンのお弟子さんたちに囲まれ教室の采配を振ってくれています。
アゴラ音楽クラブとは
スペースアゴラを創設する以前から私のピアノ教室には一人の自閉症の少年が来ていました。その少年とのお付き合いがきっかけで音楽療法を学び始めた私のもとに自閉症、ダウン症といった障がいを持つ子どもたちが集まるようになり、1995年には10人近くに増えました。そこで、スペースアゴラ音楽教室の中の知的障がいを持つ生徒やその保護者の方たちの音楽を通した交流の場として1995年に和太鼓チーム「アゴラ太鼓」を結成、2002年にはアゴラ太鼓をはじめピアノ、マリンバ、ダンスの会員も含め任意団体「アゴラ音楽クラブ」を設立したのです。
音楽の効用を検証したい
私は、心身に障がいを持つ子ども成人たちが音楽と継続的に関わることによって心身の発達、障がい部分の改善が促されるということを肌で感じていましたが、それを科学的に検証したいという思いが募り、2008年に奈良女子大学大学院人間文化研究科博士後期課程に入学、動作分析や脳波、近赤外線分光法などを用いて音楽の療法的効用の研究に取り組み、2011年3月に博士(学術)の学位を頂きました。これは音楽が大好きで私の無茶な要求にも応えてくれる子どもたちと粘り強く子どもたちの長年の音楽活動を支えておられる保護者の方々の理解と協力の賜物です。
現在は奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科柴田准教授と連携してさらに研究を進めています。
なぜNPO法人を設立したか
「アゴラ音楽クラブ」を設立して2012年でちょうど10年になります。こういった組織は10年経てようやく安定するように感じます。任意団体設立当初からNPO法人という選択肢はありましたが、子どもたちはもちろん保護者もまだ先が見えず、団体として何が出来るかもわからない状況でした。
しかしこの10年の間にアゴラ音楽クラブは大きく変わりました。地域社会での認知度はかなり上がり、支援者も増えました。私自身も障がい者の授産施設をはじめ幼稚園・小学校・社会教育学級などで話をしたり和太鼓の講習を行うことが増えましたし、研究に関わりはじめてからは国内外の学会で発表することも多くなりました。ただ、公の事業に参加したり協賛や助成など支援をいただくにせよ、大学や研究機関と連携して研究を行うにせよ、信用のおける団体であるという証が必要になってきます。これからさらに活動を広げていこうという今こそNPO法人としてステップアップする時期ではないかと考えたのです。

盤石な地盤の上で
NPO法人設立にあたっては奈良女子大でご指導頂いた佐久間春夫先生(現・立命館大学教授)がご多忙の身でありながら快く監事を引き受けて下さいました。また大学院在学中よりお世話になっていた奈良先端科学技術大学院大学情報科学科准教授の柴田智広先生は私が法人化について迷っている時から強く後押しして下さって学術理事への就任も快諾して下さいました。広報理事には子どもたちの指導を担当して下さっている鎭目久美子先生(ダンス)、大脊戸亜矢先生(マリンバ)、娘の島本真梨子(ヴァイオリン)、さらに総務理事として保護者からお二人(設立当初は菅原喜美子様、園田慧美様)が就任されます。
今まではほとんど狭い奈良の中だけで活動していましたが、この頼もしいスタッフで土台を固め、「NPO法人アゴラ音楽クラブ」という看板を掲げるからにはより広く世界を見据え、社会に貢献できるような活動を目指して精進したいと思っております。
どうか今後ともよろしくご支援いただけますよう、お願い申し上げます。
理事長の業績
| 著書・学術論文などのタイトル | 発表年・月 | 発行所、発表雑誌等又は発表学会等の名称 | 概要 |
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論文 |
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| 9番染色体短腕欠損症Yさんの音楽療法 ―安定した発声をめざして― |
平成22年2月 | 近畿音楽療法学会誌Vol.8 ,85-90 | 重度の精神発達遅滞を伴う9番染色体短腕欠損症児に対し身体動作やスパーク布を利用した呼吸法による発声訓練、melodic wordsを用いた発語訓練を行った事例研究 |
| コミュニケーション能力向上における音楽の役割 ―知的障害者授産施設の保護者を対象にした調査結果より― |
平成22年3月 | 奈良女子大学人間文化研究科年報 第25巻,247-256 | 知的障がい者授産施設Kの保護者からみた対象者の音楽に対する反応や気分の変化についてのアンケート調査結果 |
| Communication Disorder and Music ―from a questionnaire survey of the guardians of mentally disabled persons―(コミュニケーション障害と音楽―知的障がい者の保護者を対象とした調査より―) | 平成22年8月 | Asian Congress of Health Psychology (full paper for proceedings) | 知的障がい者授産施設A・Rの保護者からみた対象者の音楽に対する反応や気分の変化についてのアンケート調査結果 |
| 和太鼓活動で見られた知的障がい者の相互関係 ―和太鼓演奏の動作分析結果より― | 平成22年9月 | 第27回認知科学会論文集(full paper for proceedings, 319-324) | 知的障がい者の和太鼓チーム活動における相互関係を2者間のリズム同期、チームメンバーの気分調査により考察 |
| 自閉症児(者)の言語コミュニケーション能力改善におけるMelodic Intonation Therapyの応用 | 平成23年3月 | 奈良女子大学人間文化研究科年報 第26号 | 自閉症児(者)対象に話し言葉・メロディーを付けた言葉の聴取時の脳波を計測し、言葉の知覚においてメロディーがもたらしている効果を検証した |
| Wadaiko Performance Enhances Synchronized Motion of Mentally Disabled Persons(知的障がい者の協調動作を促す和太鼓パフォーマンス) | in revision | Perceptual and Motor Skills | 知的障がい者の和太鼓チーム活動における相互関係を演奏動作の分析、チームメンバーの気分調査により考察 |
| 著作 | |||
| みんなきいてわたしもひけるよ | 平成19年9月 | 自費出版 | 知的障がい児・者を対象とした音楽教室の様子、その中から生まれた和太鼓チームについての記録 |
| 雑誌掲載 | |||
| 魂の内なるハーモニー①~⑫ | 平成4年4月~5年4月 | 「ムジカ・ノーヴァ」音楽之友社 | |
| トントントコトコ ヨカッタナ①~⑤ | 平成13年8月~12月 | 「やまと」奈良県教育振興会 | |

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